セミナー

ホームパーティーに学ぶコミュニケーションデザイン(4)

1/キャスティングはコミュニケーションの下ごしらえ

人の和を広げるキャスティング法

ホームパーティーの主催者は、映画や舞台で言う所の「監督」です。

監督は、理想の完成形をイメージして、そのために、人を集め、人を動かし、スムーズに事が運ぶように気配りをすることが仕事。もちろん、予算の管理も大事です。

私は、パーティーに大事な三要素として、よく「ヒト・カネ・スケジュール」をあげますが、これはまさに「監督」の仕事にも共通した要素です。

さて、その中で筆頭に挙げているのが「ヒト」です。前の章でも説明した通り、ホームパーティーの主役は「ヒト」です。どんな人を招いてホームパーティーを楽しむか?これで、ホームパーティーの性質が大きく変わってくる重要なポイントです。

これまでも付き合いが深く、いつも職場などで集まっている仲のよい人だけをお呼びしてホームパーティーを開くのが最も簡単なパターンです。気心も知れているし、遠慮することもない。「初めまして」の挨拶もなしに行えるので、最初からリラックスして楽しむことができるのがメリットです。ただし、そのためにホームパーティーの持っている、様々なコミュニケーションの可能性はありません。いつも通りの人と、いつもどおりの会話をするだけでは、ホームパーティーの醍醐味は味わえないのです。やはり、ここは、少しだけコミュニケーションの「和」を広めてみましょう。

例えば、あなた自身は、それぞれによく知っているけれど、他の参加者同士では初対面だとか、そこまで親しくはなかったりだとか、そういった人たちを、あなたがハブになって繋げてみるホームパーティーというのはいかがでしょうか?

主催者としては知っている方々ばかりなので、不安も少ないでしょうし、参加するお客側に立ってみれば、新たなコミュニケーションを育む、出会いの場にもなるのです。

もちろん、あなた自身が新たなコミュニケーションを楽しみたいのであれば、一度だけあって見て、興味を持った人、FacebookやツイッターなどのSNSで親しくなった人、を誘ってみるのもいいかも知れません。

二人で話をするには、ちょっと勇気が出なくても、ホームパーティーであれば大勢の中で相手の様子を伺いながらの会話ができるので安心できます。

より多くの人と知り合うために

とはいえ、顔も知らない相手を誘うのはそれなりに抵抗があるものです。そこでオススメするのが「紹介制」のホームパーティーです。

あなたの友人に「その知り合い」を連れてきてもらうわけです。これは、今のホームパーティーブームの中では比較的ポピュラーなスタイルでもあります。気心のしれた親しい友人に声をかけて、あなたが普段コミュニケーションをとったことのない「友達の友達」を誘ってもらう。

私も、このスタイルのホームパーティーをよく主催しています。友人には「あなたより面白い人、コミュニケーション能力のある人を連れてきて!」とリクエストを出しています。これも親しい友人だからこそ出せるユニークなリクエストですが、自分たちの世界よりも、ワンランク上の刺激をもらえるならばありがたいことです。

これで、参加者の半数は、主催者が初めて会う人たちになるわけです。新たな出会いに対しては臆することはありませんし、自分のコミュニケーションの拙さを嘆く必要はありません。自分より優れた人と接することは向上心にもつながりますし、楽しいものです。

また、初対面とはいえ、間には「親しい友人」という保険がかけられているので、コミュニケーションにおいて大失敗することはないでしょう。

そして何より「いつものメンバー」「いつもの会話」といった、パーティーのマンネリを防ぐのにも効果的です。

親しい友人たちとの会話に加えて、新しい出会いも楽しめるという一挙両得のスタイルなので、ぜひお試しください。

キャスティングで注意したいポイント

ちなみに少人数のパーティーの差は男女比にも少しだけ気を配って見てください。

大人数の場合は気にもならないのですが、少人数のホームパーティーで、男女比が半々だと「合コン」的なムードが気になることがあります。特に初対面同士の参加者は、気にしてしまうことがあり、そうなると、妙な緊張感を持たれて、打ち解けたトークも楽しめなくなってしまいます。

また、女性が多めになると男性が気を使いすぎて萎縮してしまうことがあるので注意しましょう。逆のように思われるかもしれませんが、女性主観のトークに対して、男性は遠慮がちになってしまう傾向があるのです。

男性は多くの場合、エスコート役を担ってくれるため、若干、男性の人数を多めに調整する方がパーティー内での会話を盛り上げることが、上手くいくようです。

最後に、キャスティングの際に気をつけるべき点としてもう一つ。ホームパーティーに呼んではいけない人の条件を挙げておきましょう。

よく出くわすケースに「名刺を配りまくる人」というのがあります。

ホームパーティーは、お店やホテルの宴会場と違って、サービスする側、される側の明確な切り分けがありません。主催者こそいるものの、参加者全員が、楽しむ側であり、楽しませる側であり、同等の立場なのです。

そんな中で、現実社会での「地位」や「肩書き」はプロフィールの一つではあっても、参加者同士の関係性には何の影響もありません。やはり「社長」や「重役」などの社会的な地位を提示されてしまうと、なかなか第三者は打ち解けづらくなるんです。そういう名刺を渡してくるということは、他人に対して「マウント」をとりにくる行為なんですよ。

ホームパーティーで「社会的な立場」に対して「気遣い」をしなくてはならないのは窮屈以外の何物でもありません。海外では、そういったうちわのパーティーの時には「Mr」などの敬称をつけないで、ニックネームでお付き合いをする、といった習慣があるくらいです。いずれにせよ、日常としての「仕事」をリラックスできるホームパーティーの場に持ち込むことは、マナー違反だと思います。

「地位」や「肩書き」を前面に押し付けてきたり、「仕事」の匂いを持ち込む人は、以上の観点からホームパーティーでのコミュニケーションの妨げになるケースが多いので気をつけたいところです。

名刺交換など必要な場合は、パーティーの席が終わってから、といったルールを作る方が、私はスマートなのではないかと思います。

参加者意識を高めること

また、ホームパーティーに参加しても、「お客」としてしか振る舞えない人も問題です。

相手をもてなす気持ちもなく、ずっとソファにひっくりがえっているような人、サービスを要求することしか考えられない人も同様。普段周囲にちやほやされる立場の経営者や、女性などに見られるパターンなのですが、周囲が「もてなしてくれる」のをいいことに、「もてなす」意識が持てない人もいるものです。こういう人を、私は「精神的にケチな人」だと思います。

ホームパーティーでは「店員さん」がいないため、参加者全員が都度、都度で、料理のサーブや後片付けなどを行うもの。それを手伝わない人は、むしろ他の参加者の気分を盛り上げてしまいます。ホームパーティーは、参加者全員で盛り上げるものだということを理解いただけない方には向かないのです。

同じように「自慢話」ばかりする人にも注意しましょう。会話は、あくまでもキャッチボールなので、自分の話ばかり喋りたがる人はマナー違反です。相手の話に耳を傾けてくれる人こそが、場を盛り上げてくれる人なのです。

似たようなタイプに「特定の人」としか話さない人というのも問題です。ホームパーティーにやって来た有名人や、華やかな人とだけ話し、他の参加者の話には耳を貸さない、というタイプの人も場の空気を盛り下げてしまいます。

それから、知ってか知らずか、コミュニケーションを拒絶してしまう行動をする人にも注意しましょう。

近年では、パーティー会場に入ってから、ずっとスマホをいじっていて顔を上げない人などを見かけるようになりました。海外のパーティーでは、入場前にスマホを預けてしまうようなルールを作ることもあるようです。パーティー中に写真を撮るなど、盛り上げに活用できるためスマホを完全にシャットアウトしましょう、というわけではないのですが、スマホをいじりだして自分の世界に閉じこもってしまうのは、ホームパーティーの参加者としてはマナー違反です。

ホームパーティーは、参加者同士の会話を楽しむのがメインイベント。周囲へのコミュニケーションを絶ってしまう人は問題です。一つ。もちろん、そういう人がいたら「スマホをいじる」暇がないくらい、動かしてあげることがホストの大事な役目です。この辺りは、また後ほどお話しします。キーワードとして上げたいのは「離さない人」です。「スマホを離さない」「座った座席を離さない」「喋り始めた相手を離さない」これらは、すべてコミュニケーションを拒否する行動です。

あと、スケジュールが合わないのか、パーティーの終わり間際にしか来れない人は招待候補から外しましょう。

形式的に参加するだけの人には、ホームパーティーを盛り上げようという気持ちがありません。さらに、終わり間際に来た人は、食事も、飲み物も取らないということからか、参加費も払ってくれないケースがあります。

ホームパーティーは「顔をだしたから」いいというものではありません。開始時間にきちんと来る、所定の参加費を払う、などの最低限の「ルール」を守れない人がいても、決してパーティーは盛り上がらないものです。

以上が、パーティーを主催する側から考える「パーティーに呼んではいけない人」の条件です。

以上のようなことを踏まえて、参加者をキャスティングするというのは、コミュニケーション力の一環です。もちろん、参加者の組み合わせ次第によって、コミュニケーション下手な人を救って上げられることもあるでしょう。そこが主催者の腕の見せ所だとも言えるわけです。ホームパーティーを開催する際は、こうしたキャスティングを考えるところから気配りそして欲しいものです。

また、これからホームパーティーに参加する、という方は、これらのことに気をつけてパーティーに臨んでください。自分が、これらの「呼んではいけない人」にならないように心得てパーティーに参加すること。それが、ホームパーティーでコミュニケーション力を上げるための第一歩だと思います。

仲間と企画するのもOK

これらの準備を一人でやるのは、それなりの労力を使います。自分だけでは難しいなと感じたら、ホームパーティーに興味を持っている友人に声をかけて、共同ホストとしてパートナーになってもらうのも良いでしょう。

ホストが複数いれば、準備に費やす労力も半分に。また、集める参加者の幅も広がり、マンネリ化を防ぐこともできます。これは、二回目、三回目とホームパーティーを続けていくうちにてきめんに効果が現れるでしょう。

もちろん、ホームパーティーの参加者に対しても、「次は一緒にパーティー(幹事)やろうよ」と、声がけをしていくことで、ホームパーティーの輪が広がって、継続にも繋がります。

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